USA Legacy Express vol.226 -ヨーロッパのEternal Weekendを制したのは-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさん、こんにちは。

先週末にヨーロッパで『Eternal Weekend Europe 2023』があり、今週末にはいよいよ日本国内でも『Asia Eternal Weekend 2023』が開催されますね。さらに来月は『Eternal Party 2023』があるなど、レガシーのイベントが充実しています。

さて、今回の連載では『Eternal Weekend Europe 2023』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

Eternal Weekend Europe 2023
『指輪物語:中つ国の伝承』と『エルドレインの森』がレガシーに与えた影響

2023年11月19日

  • 1位 Temur Delver
  • 2位 Temur Cascade
  • 3位 Cradle Control
  • 4位 Doomsday
  • 5位 Grixis Delver
  • 6位 Mono Black Reanimate
  • 7位 Boros Initiative
  • 8位 Temur Midrange

トップ8デッキリスト

先週末にヨーロッパで開催された『Eternal Weekend Europe 2023』のレガシー部門は、参加者なんと713名と大盛況で、スイスラウンド10ラウンド+プレイオフというたいへん長丁場なイベントでした。

レガシー環境は『指輪物語:中つ国の伝承』と『エルドレインの森』から複数の強力なカードが登場したことと、禁止改定により変化し続けています。現在はDimir Scamなど《オークの弓使い》デッキが支配する環境だと思われていましたが、今大会のプレイオフは8名のプレイヤーすべてが異なるデッキを選択していました。

デッキ紹介

Temur Delver

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『エルドレインの森』リリース前のデルバーは、《オークの弓使い》を使えるグリクシス型がほぼ一択でしたが、《探索するドルイド》の登場でティムール型が復権しました。

MOの強豪プレイヤーでMOCSでも入賞経験のあるJulian Jakobovits氏は、今大会でそのTemur Delverを使って見事に優勝を果たしました。

☆注目ポイント

Questing Druid

《探索するドルイド》の「出来事」はもちろんアドバンテージ源として有用ですが、《渦まく知識》《思案》《先触れ》といったライブラリー操作を利用して使いたいカードが捲れるようにすることも重要になります。そして主に「出来事」面で使うため、本体用の緑マナ源は《Tropical Island》が1枚と非常に軽いタッチとなっています。

また《探索するドルイド》の「出来事」は追加のドローではないので、《オークの弓使い》に引っかからないのは大きな利点です。

軽いスペルが多いので《探索するドルイド》はすぐにフィニッシャー級の脅威へと成長する可能性があり、クロックの速度が重視されがちなコンボデッキとのマッチアップでは、普通にプレイして強化していくことも選択肢としてあります。

Portent

《先触れ》が追加のドロースペルとして使われています。相手のトップも操作することができるため、《最後の審判》の束の順番を変えたりと、マッチアップによっては普通のスロートリップスペル以上の働きをします。

Temur Cascade

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モダンでもおなじみの《断片無き工作員》《暴力的な突発》といった「続唱」スペルから、《衝撃の足音》をプレイして早い段階からビートダウンしていくTemur Cascade。

Elvish Spirit Guide猿人の指導霊

レガシーでもタフネス4のクリーチャーを複数処理するのは難しく、《エルフの指導霊》《猿人の指導霊》といったマナ加速が使えるため、最速1ターン目からサイ・トークンを並べることができます。

このデッキは「続唱」から確実に《衝撃の足音》をプレイするために、《渦まく知識》が採用できないなど構築の面で大きな制限がかかります。しかし、キャントリップと低タフネスのクリーチャーを採用しないことによって、《オークの弓使い》の影響を受けにくくなるという利点もあります。

☆注目ポイント

厚かましい借り手

《厚かましい借り手》《虚空の杯》のようなやっかいな置物を対処しつつ、回避能力持ちの脅威としても機能します。《意志の力》《否定の力》のピッチコストになるのも地味に優秀です。「続唱」の関係で軽い除去スペルを採用できないので、貴重な対応札になります。

時を超えた英雄、ミンスクとブー

「続唱」やサイ・トークンが対策されてしまっても、《時を超えた英雄、ミンスクとブー》という強力な追加の勝ち手段があります。《意志の力》でバックアップしつつ《猿人の指導霊》から序盤に出せば、巨大なハムスター・トークンがゲームを速やかに終わらせてくれます。

活性の力忍耐

サイドは《虚空の杯》用の《活性の力》や、墓地対策とデルバー対策を兼ねる《忍耐》が採用と綺麗にまとまっています。

Cradle Control

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マナクリーチャーや《ガイアの揺籃の地》で大量にマナを出して《自然の秩序》《緑の太陽の頂点》から《偉大なる統一者、アトラクサ》《孔蹄のビヒモス》を出すクリーチャーベースのコンボデッキ。海外では最近「Cradle Control」と呼ばれています。

《緑の太陽の頂点》《悪魔の職工》によってデッキ内のクリーチャーを状況に応じてサーチしてこれるツールボックス的な要素もあり、《溜め込み屋のアウフ》など特定のマッチアップで活躍できる緑のクリーチャーを無理なくメインから採用することができます。

☆注目ポイント

Fiend Artisan緑の太陽の頂点

《悪魔の職工》基本的に毎ターン使える《緑の太陽の頂点》で、ゲーム後半にはフィニッシャーとしても機能します。マナクリーチャーやトークンを生成する《飢餓の潮流、グリスト》、フェッチランドから《ドライアドの東屋》を持ってこれたりと生け贄にするクリーチャーに困ることはほとんどありません。

飢餓の潮流、グリスト

《飢餓の潮流、グリスト》《緑の太陽の頂点》《悪魔の職工》からサーチしてこれるプレインズウォーカーで、昆虫・トークンを生成する能力は《悪魔の職工》《ガイアの揺籃の地》と相性が良く、もっとも重要なカードの1枚になります。[-2]能力によって《濁浪の執政》をはじめとした環境の脅威を対処することができ、昆虫・トークンは《自然の秩序》を引き当てるまでのブロッカーとして働きます。

Elvish Reclaimer

《エルフの開墾者》主に《ガイアの揺籃の地》をサーチする手段で、墓地を使うデッキに対しては《ボジューカの沼》で妨害することも可能です。《ボジューカの沼》はデルバーの「探査」や「昂揚」を妨害したり、コントロールの《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を追放したりと複数のデッキ相手に使えます。また、タフネスが4になることで《稲妻》の射程圏外になるため、特にデルバーとのマッチアップでは除去されにくい脅威となります。

Doomsday

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《時を解す者、テフェリー》《虹色の終焉》《剣を鍬に》のために白をタッチし、サイドには《花の絨毯》が採用されているなど、相性の悪いデルバーを意識した構成になっています。

カウンターや《夏の帳》でバックアップしつつ仕掛けることができるので、デルバー以外の青いデッキとのマッチアップは有利で、ほかのコンボデッキに対しても速度で勝負することができます。コントロールに寄せている分、一般的なリストと比べるとコンボの速度は落ちますが、テンポデッキとの相性が改善されています。

☆注目ポイント

夏の帳

《夏の帳》はハンデスだけでなく《オークの弓使い》も対策できるので、カウンター以外のコンボを守る手段として《思考囲い》よりも優先されています。

時を解す者、テフェリー

《時を解す者、テフェリー》はデルバーの《濁浪の執政》など脅威をバウンスすることで時間を稼ぎつつ、カウンターを無力化することでコンボを安全に決めやすくなります。《タッサの神託者》に合わせて《忍耐》《激しい叱責》で妨害をしてくる相手にも有効です。

剣を鍬に虹色の終焉一つの指輪

デルバーのクロックやDeath and Taxesのヘイトベアーを対策できる《剣を鍬に》《虹色の終焉》を採用することで、特にテンポデッキとの相性の改善を図っています。《一つの指輪》《紅蓮破》に引っかからないアドバンテージ源で、無敵状態になることでコンボの時間稼ぎに貢献します。

総括

『Eternal Weekend Europe 2023』の各デッキの勝率を載せたデータがXに投稿されており、データによると特定のデッキが環境を支配していることはなく、極めて健全な環境という印象です。

実際にプレイオフも8名がすべて異なるデッキで、《オークの弓使い》が支配していたように見えた環境も《豆の木をのぼれ》《探索するドルイド》といった『エルドレインの森』から登場したカードによって環境に動きが見られました。

USA Legacy Express vol.226は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら