USA Legacy Express vol.228 -大躍進、ゴブリン突撃部隊-

Kenta Hiroki

はじめに

新年あけましておめでとうございます。

2024年もレガシーの情報をみなさんにお届けしていきたいと思うので、よろしくお願いいたします。

さて、今回の連載では先月開催された『THE LAST SUN 2023』と『Eternal Party in Tokyo』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

THE LAST SUN 2023
ゴブリンの隆盛

2023年12月17日

  • 1位 Goblins
  • 2位 Temur Cascade
  • 3位 Temur Midrange
  • 4位 Initiative
  • 5位 Goblins
  • 6位 Grixis Delver
  • 7位 Temur Cascade
  • 8位 Initiative

トップ8デッキリスト

『THE LAST SUN』は各地の厳しい予選を勝ち抜いたプレイヤーや、プロツアー、プレイヤーズコンベンションなどの競技イベントで結果を残したプレイヤーのみが参加できるイベントです。また混合フォーマットで行われるのが通例で、今回はパイオニアレガシーでした。

豆の木をのぼれ探索するドルイド練達の地下探検家

レガシーのメタゲームブレイクダウンによると、多色のBeanstalk Controlがもっとも人気があったデッキであり、次点でTemur DelverとInitiativeとなっています。

入賞したデッキはGoblins、Temur Cascade、Initiativeといった多色コントロールに強い要素を持ったデッキが中心でした。

デッキ紹介

Goblins

ゴブリンの従僕霊気の薬瓶ゴブリンの首謀者

Goblinsは《ゴブリンの従僕》《霊気の薬瓶》を駆使して強力なゴブリンを踏み倒し、《ゴブリンの首謀者》によって息切れすることなく攻めるアグロデッキです。長い間レガシーで活躍していたデッキですが、近年強力なゴブリンが登場したことによってデッキの構成も大きく変化しています。

虚空の杯上流階級のゴブリン、マクサス

最近は《虚空の杯》などで相手の行動を制限しつつ、《古えの墳墓》などのマナ加速から《上流階級のゴブリン、マクサス》を高速展開するストンピィ寄りのスタイルになっています。

また従来のように《ゴブリンの女看守》で状況に合わせたゴブリンをサーチしたり、《ゴブリンの首謀者》でアドバンテージを稼いで物量で押していくことも可能です。

☆注目ポイント

________ Goblin

『Unfinity』で登場した《________ Goblin》はGoblinsを新しい形にしました。多少運は絡みますが、高確率でマナ加速できるので《上流階級のゴブリン、マクサス》を早い段階から展開することができます。

Goblin Matron

《ゴブリンの女看守》《上流階級のゴブリン、マクサス》《ゴブリンの首謀者》などキーとなるゴブリンをサーチできます。ゲーム後半のトップ勝負にも強く《雄叫ぶゴブリン》《舷側砲の砲撃手》で残りライフ数点を削りに行くことが可能です。

舷側砲の砲撃手

統率者セットはレガシーの環境に度々影響を与えています。『イクサラン:失われし洞窟』の統率者セットから登場した《舷側砲の砲撃手》は、ストンピィ系の新戦力として活躍しています。不要になった《金属モックス》を2点火力に変換できる強力な「誇示」能力を持ち、《上流階級のゴブリン、マクサス》を本体に投げ飛ばすことができれば8点ものダメージを与えることができます。

Temur Cascade

モダンのプロツアーで結果を残すなど第一線で活躍しているTemur Cascadeは、レガシーでも大きなイベントで複数入賞する強さを見せます。

断片無き工作員衝撃の足音暴力的な突発

基本的なデッキの動きはモダンと変わらず、《断片無き工作員》《暴力的な突発》から《衝撃の足音》を「続唱」でプレイします。レガシーでは《エルフの指導霊》《猿人の指導霊》といったマナ加速が使えるため、最速1ターン目から2体の4/4トランプルを展開することができます。

マナ加速のおかげで《目くらまし》にも耐性があり、サイ・トークンは《稲妻》の射程圏外なため、特にデルバー系にとって対処が難しい脅威となります。デッキの構成上《渦まく知識》《思案》といった1マナのドロースペルが使えないので、現在のレガシーを定義する《オークの弓使い》が刺さりにくいことも強みです。

☆注目ポイント

厚かましい借り手

《厚かましい借り手》は、《濁浪の執政》や「続唱」対策の《虚空の杯》など厄介な置物をバウンスすることができるなどレガシーでも極めて柔軟なカードになります。

ロリアンの発見

さまざまなデッキの安定性向上に貢献している《ロリアンの発見》。このデッキは安定して2-3ターン目に「続唱」を唱えたいので、重要なカードとなります。

避け難い裏切り

サイドの《避け難い裏切り》は、Show and Tell系やReanimatorなど高コストの強力なクリーチャーを搭載したデッキとのマッチアップでサイドインされます。《偉大なる統一者、アトラクサ》《引き裂かれし永劫、エムラクール》といった相手のフィニッシャーを奪うことで、勝ち手段として利用することができます。

Eternal Party in Tokyo
アーティファクトデッキが年末のレガシーのイベントを制する

2023年12月24日

  • 1位 Mystic Forge Karn
  • 2位 Sultai Beans
  • 3位 Oops All Spells
  • 4位 Grixis Delver
  • 5位 Temur Cascade
  • 6位 Initiative
  • 7位 Temur Midrange
  • 8位 Initiative

トップ8デッキリスト

昨年末に開催された大規模なテーブルトップイベント『Eternal Party』は参加者220名と大盛況でした。

《オークの弓使い》《進め、エオルの家の子よ!》《豆の木をのぼれ》《一つの指輪》といった2023年に登場した強力な新カードを活用したデッキが中心で、近年のレガシーを象徴する結果になりました。

デッキ紹介

Sultai Beans

MOの強豪プレイヤー・pokemoki(@RealPokemoki)がLegacy Challengeで優勝したことで広まったスゥルタイカラーのコントロールデッキ。

3色になった分マナ基盤に少し余裕がうまれたので《不毛の大地》を採用でき、《目くらまし》も入って4-5色バージョンよりもテンポ寄りの構成になっています。 多色コントロールとのマッチアップでは、相手のマナ基盤を《不毛の大地》で潰しつつ《オークの弓使い》《トレストの使者、レオヴォルド》ドローを制限しながら攻めることができるため、有利にゲームを進めやすくなります。

Tropical IslandUnderground Sea島神秘の聖域

また、マナ基盤が《Tropical Island》《Underground Sea》《島》基本土地タイプに島を持つ土地が中心なので《神秘の聖域》も誘発させやすくなっており、《ロリアンの発見》などを再利用することでアドバンテージも稼ぎやすくなっています。

☆注目ポイント

目くらまし残忍な切断濁浪の執政

4-5色型よりも軽い構成で、2マナのスペルが多めに採用されています。《目くらまし》がフル搭載されており、2ターン目から《豆の木をのぼれ》をプレイしつつ相手を妨害することが可能です。

スゥルタイ型は《力線の束縛》《終末》が使えないので、相手のクリーチャーを除去しつつ《豆の木をのぼれ》を誘発させることが難しくなっています。そのため、《残忍な切断》《濁浪の執政》といった「探査」スペルを活用することでアドバンテージを取っていきます。

ウィザーブルームの命令喉首狙い

《ウィザーブルームの命令》《不毛の大地》を墓地から回収しつつ、小型クリーチャーを除去することができる便利なスペルで、墓地のカードも増やせるので《濁浪の執政》を早い段階からプレイできるようになります。

一般的なリストでは《シェオルドレッドの勅令》が2マナの除去として採用されていますが、Hosokawa氏のリストには《喉首狙い》が採用されています。《喉首狙い》の採用理由については記事でも説明がされており、《濁浪の執政》を確実に除去できる点で軍配が上がったようです。

Powder Keg

スイーパーとしての性能は《破滅的な行為》のほうが優れていますが、サイドの《火薬樽》は2マナと軽く無色マナでプレイできるため、Initiativeなどストンピィ系の《虚空の杯》を対策しやすくなります。

Grixis Delver

最近は《探索するドルイド》を得たTemur Delverが活躍していますが、《オークの弓使い》を使えるグリクシスバージョンがもっともポピュラーなテンポデッキの形になります。

デッキの基本的な構成は変わらず、《秘密を掘り下げる者》《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》といった効率的なクロックで圧をかけつつ、《不毛の大地》で相手のマナを攻めて《目くらまし》などでバックアップしていきます。

DoomsdayやSneak and Showといったコンボデッキに強く、2種類の1マナクロックをフル搭載しているためInitiativeなどにも強い構成になっています。《豆の木をのぼれ》などでアドバンテージを稼ぎつつ、除去を多用するコントロールは苦手なマッチアップになります。

☆注目ポイント

Molten Collapse

『イクサラン:失われし洞窟』から登場した《溶鉄の崩壊》は、《濁浪の執政》《忍耐》《練達の地下探検家》など高タフネスクリーチャーへの解答として採用されています。またメインから採用できる《虚空の杯》対策は貴重であり、《不毛の大地》《目くらまし》戦略の天敵である《花の絨毯》に対する解答にもなります。

フェッチランドや《不毛の大地》《ミシュラのガラクタ》などのおかげで簡単に「落魄」するため、Initiativeとのマッチアップでは《練達の地下探検家》を処理しつつ《金属モックス》《虚空の杯》なども一緒に割るといったことも可能になります。

塵へのしがみつき

《カザド=ドゥームのトロール》が登場して以来、Reanimatorのような墓地コンボ以外にも《再活性》を搭載したデッキが散見されるようになりました。それ以外にも《自然の怒りのタイタン、ウーロ》など現在のレガシーでは墓地を使ったデッキが多いため、《塵へのしがみつき》がメインから採用されています。最悪1マナのキャントリップとしても使えるので無駄になりにくく、メインから採用しやすい墓地対策になります。

覆いを割く者、ナーセット

《豆の木をのぼれ》デッキが流行っている現環境では、追加ドローを制限する《覆いを割く者、ナーセット》が刺さります。最近の多色コントロールは、青いデッキのミラーマッチでも《オークの弓使い》が増加傾向にあるため、オークを対処できない《紅蓮破》の採用が見送られる傾向にあります。以前と比べて《紅蓮破》の使用率が落ちているのも、《覆いを割く者、ナーセット》が再評価されている理由の一つになっています。

総括

《オークの弓使い》が多くのデッキでプレイされているのにもかかわらず、現在のレガシーは健全であると判断され、Eternal Weekendが終了した直後の禁止改定でも変更なしでした。

コミュニティー内でもIzzet Delver一強だった昨年と異なり、現在のレガシーはテンポ・コントロール・ミッドレンジ・コンボ・プリズンなどさまざまなデッキがプレイされており、歴代でもっとも楽しい環境と評されているようです。

USA Legacy Express vol.228は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら