USA Legacy Express vol.233 -新環境直前のレガシーを制したのは-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさん、こんにちは。

MOでレガシーを含めたさまざまなフォーマットでウィークリーチャレンジのイベントが追加されました。Legacy Challengeも追加で日本時間の土曜日の朝に開催されるようになったので、日本に住んでいるプレイヤーも参加しやすくなっています。

さて、今回の連載では『Legacy Showcase Qualifier』と『Legacy Challenge 64』『SCG CON Atlanta – $1K Legacy』の入賞デッキを見ていきたいと思います。

Legacy Showcase Qualifier
多色コントロールのワンツーフィニッシュ

開催日:2024年3月30日

優勝 4C Control

準優勝 5C Control

3位 Temur Midrange

4位 Goblins

5位 Temur Delver

6位 Temur Delver

7位 Mono Red Prison

8位 Dark Depths

トップ8デッキリスト

シーズン終盤のイベントである『Legacy Showcase Qualifier』が開催されました。

このイベントは『Legacy Showcase Challenge』とラストチャンス予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参加できる招待制のイベントで、小規模ながら優勝者にはMOCS本戦とプロツアーへの参戦権利が与えられるためレベルの高いイベントでした。

ここ最近Legacy Challengeで複数の入賞していたTemur Delverが人気があり、Delver系に強い多色コントロールも結果を残していました。

デッキ紹介

4C Control

今大会のように参加者29名の小規模なイベントではメタの対象が絞りやすく、青いフェアデッキが活躍しやすい環境になります。

見事に優勝した多色コントロールは、MOで《聖カトリーヌの凱旋》が実装されたため実現したバージョンで、今大会で最もポピュラーなアーキタイプだったDelver系に強いデッキになります。コンボを選択したプレイヤーが少なかったのも、このデッキの勝因のひとつです。

緑ベースのコントロールを選択する理由に《花の絨毯》が使えることが挙げられ、《目くらまし》《不毛の大地》に耐性がつきます。

☆注目ポイント

忍耐

《忍耐》Delver系とReanimatorに強いカードなのでメイン採用も納得です。メインから無理なく採用できる墓地対策は素晴らしく、《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》を妨害しつつ、《秘密を掘り下げる者》を一方的に討ち取ることができ、《稲妻》1枚で落ちないためDelver系にとって脅威となります。

水流破門衛のスラル

GoblinsやMono Red Prison対策に《水流破》がサイドに3枚と多めにとられています。Goblinsは最近人気があるアーキタイプなので、追加の対策として《門衛のスラル》も採用されています。《門衛のスラル》が場にある状態なら《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のETB能力も誘発しなくなるので場に残すことができます。

濁浪の執政オークの弓使い聖カトリーヌの凱旋

《濁浪の執政》《オークの弓使い》《聖カトリーヌの凱旋》といったクリーチャーが複数採用されているため、従来のコントロールと比べると引き分けが発生しにくくなっています。また、相手の《オークの弓使い》を対策するために、コントロールも《オークの弓使い》を採用する必要があるため、最近の多色コントロールはSultaiベースになる傾向にあります。《濁浪の執政》《聖カトリーヌの凱旋》《豆の木をのぼれ》と相性が良く、アドバンテージを稼ぎつつ脅威を展開することができます。

Mono Red Prison

常に上位で一定数見られるMono Red Prison。最近実装された『統率者デッキ:Warhammer 40,000』の《カノプテック・スカラベ・スウォーム》が採用されているなど、環境に合わせてアップデートされています。

虚空の杯血染めの月

Delver系やReanimatorに対しては《虚空の杯》、最近Reanimatorに強いデッキとしてよく見られるようになったLandsなどには《血染めの月》が刺さるため現環境でも良チョイスになります。

2マナランドやマナ加速によって容易に《虚空の杯》《血染めの月》最速で1ターン目にプレイすることができ、《猿人の指導霊》のおかげで《目くらまし》も搔い潜ることができます。

☆注目ポイント

Unlicensed Hearse

メインからフルに採用されている《未認可霊柩車》は、現環境トップメタであるReanimatorやDelver系の「昂揚」や「探査」を妨害しつつフィニッシャーとしても機能します。このデッキならマナ加速で1ターン目からプレイできるので、Delver系やDimir Scamとのマッチアップではゲームを有利に進めることができます。

Canoptek Scarab Swarm

《カノプテック・スカラベ・スウォーム》は最近MOでも実装された『統率者デッキ:Warhammer 40,000』のカードで、4マナと墓地対策としては少し重いものの複数の飛行を持つトークンを展開できるので、Delver系などに対する追加の墓地対策として有用です。

Legacy Challenge 64
いろいろなタイプのDimirデッキ

開催日:2024年4月6日

優勝 Dimir Scam

準優勝 Esper Control

3位 Domain Beanstalk

4位 Cradle Control

5位 Mono Red Prison

6位 Lands

7位 Death’s Shadow

8位 Goblins

トップ8デッキリスト

Mono Red StompyやGoblins、Landsなど《古えの墳墓》デッキが中心でした。

Dimir Reanimatorに強いデッキが多く勝ち残るなかで優勝したのは《ウルザの物語》を搭載したDimir Scamでした。

デッキ紹介

Dimir Scam

Dimir Scamに《ウルザの物語》パッケージを採用したバージョンで、中盤以降息切れがしにくくなり除去を多用するデッキにも強くなりました。

土地が18枚で《ウルザの物語》《不毛の大地》という2種類の無色マナが出る土地が入っているため、青黒ですが実質3色のマナベースでアンチ特殊地形に対する耐性は少し下がっています。

☆注目ポイント

ウルザの物語Currency Converter

《ウルザの物語》《両替機》のパッケージを搭載しているため、コントロールとのマッチアップでリソースが枯渇しにくくなりました。現環境のトップメタであるDimir Reanimatorは《溶融》が使えず《ウルザの物語》の対策手段が限られるため、ほかのDimir Scam系とのマッチアップにも強くなっています。《ウルザの物語》からは《両替機》以外にも《虚無の呪文爆弾》《上天の呪文爆弾》もサーチできるので、メインから複数の異なるマッチアップに対応することができます。

虚無の呪文爆弾

《虚無の呪文爆弾》はメインから無理なく運用できる墓地対策で、Reanimatorやコントロールの《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などにも対応しやすくなりました。

上天の呪文爆弾シェオルドレッドの勅令殺し

《上天の呪文爆弾》《シェオルドレッドの勅令》《殺し》など《濁浪の執政》対策も複数用意されており、特に《上天の呪文爆弾》《シェオルドレッドの勅令》《マリット・レイジトークン》対策としても機能します。

SCG CON Atlanta – $1K Legacy
ヨーリオン入りのDeath and Taxesが複数入賞

開催日:2024年4月14日

優勝 Temur Rhinos

準優勝 Death and Taxes

3位 Golgari Depths

4位 Death and Taxes

5位 8 Cast

6位 Doomsday

7位 Grixis Delver

8位 Rakdos Scam

トップ8デッキリスト

先週末に『SCG Con Atlanta』で『$1K Legacy』が参加者46名で行われました。

MOで人気があるDimir Reanimatorは上位では見られず、Death and TaxesやGrixis Delver、Doomsday、8 Castなどさまざまなアーキタイプがプレイオフに入賞していました。Temur RhinosやRakdos Scamといったモダンでも活躍していたアーキタイプも結果を残しています。

デッキ紹介

Death and Taxes

《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にした80枚バージョン。《石鍛冶の神秘家》《護衛募集員》といったサーチカードを複数採用しているため、80枚デッキになっても安定性が保たれています。

最近は《オークの弓使い》やハンデスのために黒をタッチしたバージョンが主流になっており、《Scrubland》のスペースを確保するために《リシャーダの港》を諦めています。《思考囲い》のおかげでコンボデッキに対する耐性がつき、相手の手札の状況を確認することでその後のゲームプランも立てやすくなりました。

☆注目ポイント

オークの弓使い

《渦まく知識》など相手の追加のドローを咎める《オークの弓使い》は、Death and Taxesにとっても黒をタッチする価値のあるクリーチャーになります。相手の追加ドローを完全に防ぐことはできないものの、基本的に役割がかぶる《迷宮の霊魂》の枠に収まっています。

Canoptek Scarab SwarmRecruiter of the Guard

《カノプテック・スカラベ・スウォーム》は高速コンボに対しては遅い対策カードになりますが、フェアデッキとのマッチアップでは有用な墓地対策になります。《護衛募集員》でサーチ可能なためメインからでも無理なく運用ができ、自分の墓地を追放することでトークンを複数生成してクロックを強化することもできます。

Pre-War FormalwearShadowy Backstreet

『Fallout』から登場した装備品の《戦前の正装》は、《石鍛冶の神秘家》でサーチ可能なリアニメイト手段で、ETB能力持ちのクリーチャーや有用な常在能力を持つクリーチャーを多用するこのデッキではアドバンテージを稼ぎやすく、よりロングゲームにも対応しやすくなります。「諜報」ランドの《薄暗い裏通り》は、貴重なライブラリー操作手段であり先ほどの《戦前の正装》ともシナジーがあります。

Rakdos Scam

現在のレガシーでは《悲嘆》《再活性》は定番のシナジーとして定着しており、複数のアーキタイプに組み込まれています。モダンでも活躍しているRakdos Scamと似ている部分はありますが、レガシーの強力なカードを活用しているためデッキパワーが高めです。

このデッキはScamとReanimatorのハイブリットで、どちらの戦略もマナ加速と強力なシナジーによって序盤から圧倒的に有利にゲームを進めることができます。

☆注目ポイント

暗黒の儀式敵対工作員

多くのレガシーのデッキはフェッチランドに依存しているため、《暗黒の儀式》からの《敵対工作員》は強力な妨害手段として機能します。《敵対工作員》は除去されやすく《暗黒の儀式》などマナ加速からの奇襲以外ではそれほどインパクトのあるクリーチャーではないため、2枚のみの採用になっています。

ダウスィーの虚空歩き

Reanimator、Scam、Delver系など多くのデッキが墓地をリソースとして活用しているため、《ダウスィーの虚空歩き》は非常に強力なヘイトベアーとして機能します。フェアデッキとのマッチアップでは有用な墓地対策として機能しますが、Reanimatorのようなスピードで勝る墓地コンボには少し遅い妨害手段になります。《暗黒の儀式》で1ターン目からのプレイを狙っていきたいところです。

Raucous TheaterNull Rod

Dimir Reanimatorと同様に、リアニメイトするクリーチャーを墓地に落とす手段兼ドローの質を向上させる《大音声の劇場》を採用しています。アーティファクト土地や《金属モックス》《水蓮の花びら》などマナアーティファクトが散見されるレガシーでは、《無のロッド》は複数のマッチアップで効果を発揮するのでサイドに3枚と多めに採用されています。

総括

聖カトリーヌの凱旋

《聖カトリーヌの凱旋》がMOでも実装されたため、Sultaiベースのコントロールタッチ白が実現し『Legacy Showcase Qualifier』を制しました。

Delver系ではTemur Delverが高い勝率を維持しています。《未認可霊柩車》をメインからフル搭載したMono Red Prisonも、Dimir ReanimatorやDelver系の「昂揚」や「探査」を妨害することができ、《血染めの月》も多色コントロールやLands、Grixis Delverなど多くのデッキに刺さるため現在いい立ち位置にあります。

USA Legacy Express vol.233は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら