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週刊デッキウォッチング vol.173 -青単スタックスの逆襲-

2018/09/05 00:00 

    • 大久保 寛
    • コラム

 『マジックの華は、デッキリストだ』

 これはある人の言葉ですが、『デッキリストに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる』のだと。

 であればデッキリストを見るという行為は。

 単なる"知識の探求"を超えて、より深い意味合いを伴った行いと言えるのかもしれません。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週おもしろそうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものです。

 気になるデッキがあれば実際に組んで遊んでみるもよし。Magic Online用のtxtフォーマットもダウンロードしていただけます。

 さっそく、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介していきましょう。

スタンダード: 「青黒緑ビートダウン」

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練達飛行機械職人、サイ鋳造所の検査官ランプのジン、ザヒード

 先週末に開催された環境名人戦。220名が集まったこのトーナメントを制したのは「青単ストーム」でした。つい中の人ネタ《霊気貯蔵器》に注目してしまいそうになりますが、その実このデッキをトップメタへと押し上げたキーカードは《練達飛行機械職人、サイ》です。

 0マナアーティファクトを連打し飛行機械トークンで戦場を埋め尽くす。まさに「青単ストーム」にぴったりの1枚だった《練達飛行機械職人、サイ》ですが、これを敢えて「青単ストーム」ではない何かで運用しようと生み出された(たぶん)のがこちらのデッキ。《鋳造所の検査官》《鋳造所の隊長》、そして《練達飛行機械職人、サイ》の符号から導き出される結論がお判りでしょうか? そう、アーティファクト・ビートダウンです。

 脇を固めるのは《歩行バリスタ》《屑鉄場のたかり屋》《新緑の機械巨人》といった『カラデシュ』『霊気紛争』産のお馴染みの面々。他にも下馬評が高かったわりに環境に居場所を見出せなかった《ランプのジン、ザヒード》さんもこのデッキでは4枚投入されています。《ラノワールのエルフ》のマナ加速があれば最速で3ターン目に着地できる強力なフィニッシャーですね。

 いよいよ『ラヴニカのギルド』の情報も出始め、『カラデシュ』~『基本セット2019』環境も末期を迎えました。「赤黒アグロ」や「白青コントロール」を回し飽きたという方は、こういう少し変わったデッキに手を出してみるのもよいかもしれません。

「青黒緑ビートダウン」でデッキを検索

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モダン: 「ゾンビ」

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縫い師への供給者秘蔵の縫合体密輸人の回転翼機

 今さらですが、映画『カメラを止めるな!』が話題ですね。みなさんはもうご覧になりましたか? 私はめちゃくちゃハマってしまい、何度か劇場に足を運んでしまいました。もちろん作品自体が魅力的だからという前提があったうえでの話ですが、インディペンデント映画がこれだけのブームメントを起こすというのはすごいことですよね。改めてSNS時代の口コミの力に驚かされました。ゾンビ映画という触書ではあるものの、ホラーが苦手な方でもきっと楽しめると思うので未視聴の方はぜひ劇場へ足を運んでみてください!(ここまで早口) あ、これだけ書いといてアレですが特に回し者とかではないです。

 さて、今回は「ゾンビ」デッキをご紹介したいと思います。『基本セット2019』の《縫い師への供給者》の存在は現在トップメタの一角として暴れている「ブリッジヴァイン」というアーキタイプを生み出しましたが、大塚くんも言っていた通りその墓地肥やしの圧倒的効率は現在存在する墓地利用系デッキすべてに影響を与えかねないほどのインパクトがありますし、なおかつ《縫い師への供給者》自身がゾンビということもあって「ゾンビ」デッキにも活躍の兆しが見えてきたようです。

 モダン環境に多数存在する部族デッキの中でも「ゾンビ」だけは(それなりにファンは多いものの)2マナロードがいないこともあって、如何せんトーナメントレベルのデッキは生まれにくくカジュアル色の強いアーキタイプでしたが、ロードはおらずとも墓地利用という一貫性を武器に戦うことで差別化が可能です。先に述べた《縫い師への供給者》で墓地を肥やすことができるのはもちろん、手札に来てしまった《秘蔵の縫合体》を捨てられる共鳴者にも《集団的蛮行》《密輸人の回転翼機》など、メインボードの動きを阻害しないフレキシブルなカードが増えてきていることも追い風です。

 他にも共鳴者と相性のいい《未練ある魂》や墓地利用系デッキのお供である《恐血鬼》など、ゾンビシナジーにこだわりすぎない柔軟なカード選択が目を惹きます。『ラヴニカのギルド』では「ゴルガリ団」も収録されるようですし、ゾンビがモダンをジャックする未来もあるかもしれませんね。

「ゾンビ」でデッキを検索

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レガシー: 「青単コントロール」

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Mana Vortex世界のるつぼプロパガンダ

 渋いッ! 渋すぎるッ!! こちらはレガシーの中でも非常に珍しいマナ束縛系のロック・コントロールデッキ「スタックス」のバリエーション、「青単スタックス」です。相手のしたいことを一方的に阻害する「白青奇跡」や、自分にはほとんど影響しない置物で対戦相手を縛る「赤単プリズン」と異なり、「スタックス」系のデッキは自分にもそれなりに被害が大きい妨害カードを採用することになるため、プレイングも構築も非常に難しいアーキタイプです。

 《Moat》《ハルマゲドン》といった凶悪な妨害カードを擁する「白スタックス」が最もメジャーですが、こちらは青ということで打ち消し呪文の《意志の力》《対抗呪文》を採用することができています。反面、「スタックス」のお家芸であるマナ基盤を攻める手段は定番の《不毛の大地》とちょっと珍しいカードである《Mana Vortex》のみとなっていますが、コンボデッキとのマッチアップを考慮すると青を選ぶメリットも馬鹿になりません。また、自分のリソースは《世界のるつぼ》《精神を刻む者、ジェイス》で回復することができます。

 《Mana Vortex》によって徐々にマナを縛り上げて、《プロパガンダ》で攻撃を封じ、自分は《世界のるつぼ》でリソースを取り戻す――あるいは対戦相手がデュアルランドを多用する「グリクシスコントロール」のようなデッキなら《基本に帰れ》1枚で封殺も可能かもしれません。対戦相手の使用できるマナを縛ってしまえば《マナ漏出》は実質《対抗呪文》の上位互換となりますし、対戦相手が一切抵抗できなくなったところで《暗黒の深部》《演劇の舞台》コンボでフィニッシュします。

 サイドボードの《Land Equilibrium》もおもしろいカードで、その能力は端的に言えば"逆《土地税》"。さすがに4マナのエンチャントということもあってメインボードには採用されていないようですが、こちらをフォーカスした構築もおもしろいかもしれませんね。何はともあれ、非常にオールディーで魅力的なデッキです。

「青単コントロール」でデッキを検索

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 いかがだったでしょうか。

 ある人は「すべてのデッキリストには意思が込められている」と言いました。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つことでしょう。

 読者の皆さんも、ぜひいろいろとおもしろいデッキを探してみてください。

 また来週!

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