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USA Legacy Express vol.142 -さらば死儀礼&ギタクシア、新環境を考えよう-

2018/07/05 00:00 

    • Kenta Hiroki
    • コラム

 皆さんこんにちは。

 皆さんはもうご存知だと思いますが、長い間レガシーの様々なデッキに採用され活躍していた 《死儀礼のシャーマン》《ギタクシア派の調査》が禁止カードに指定されました。禁止になった経緯については公式の方でも説明があります。

 今回の連載では新環境のレガシーで活躍しそうなデッキを一緒に考えていきたいと思います。

死儀礼のシャーマンギタクシア派の調査

 環境を支配していたGrixis Delverと4C Leovoldは《死儀礼のシャーマン》が退場した今マナ基盤を支えることができなくなり、姿を消すことになりそうです。《ギタクシア派の調査》がなくなったことで《若き紅蓮術士》や「探査」クリーチャーの《グルマグのアンコウ》も弱体化しました。

 ANTも手軽に相手の手札の情報を得つつドローを進められる《ギタクシア派の調査》を失いましたが、Grixis Delverなどの《ギタクシア派の調査》からの《陰謀団式療法》に悩まされることがなくなることを考慮すると以前よりも優位なポジションになるかもしれません。ですが現時点では未知数です。

 さて、ここからは新環境で活躍が予想されるデッキを見ていきたいと思います。

Reanimator

グリセルブランド納墓再活性

 《死儀礼のシャーマン》の禁止に伴い、墓地を使ったデッキは相対的に強化されそうです。多くのフェアデッキがメインから墓地対策にもなるマナクリーチャーを採用していた環境ではコンボスピードの速いRB Reanimatorなど一部を除いたデッキは苦戦を強いられていましたが、今後はその心配もなくなります。

 BR Reanimatorはそのコンボスピードの速さから《死儀礼のシャーマン》が存在した旧環境でも見られましたが、今後は速度は少し落ちるもののドロースペルやカウンターによる妨害要素を搭載し、安定性で勝るUB Reanimatorの復権も考えられます。

 環境最高のコンボデッキの一つになりそうですが、幸い《外科的摘出》《安らかなる眠り》《虚空の力線》《封じ込める僧侶》《墓掘りの檻》など対策カードが多数存在します。

Miracles

先触れ終末精神を刻む者、ジェイス

 《コラガンの命令》を採用した4C Leovoldの退場により《石鍛冶の神秘家》と装備品パッケージを搭載したミッドレンジ/コントロールであるStone Bladeも復権してくることも予想されますが、そのStonebladeやクリーチャーデッキ全般に強いMiraclesも新環境の有力な選択肢の1つとして挙げられます。

 基本地形を多数搭載しているので《不毛の大地》《血染めの月》といったアンチ特殊地形のカードに耐性もあり、復権してくるであろうTemur Delverや、旧環境から存在し禁止による影響を全く受けていないMono Red Prisonなどとのマッチアップにも強そうです。

Temur Delver

敏捷なマングースタルモゴイフもみ消し

 マナ否定戦略をあざ笑う存在であった《死儀礼のシャーマン》が退場したことにより、《もみ消し》《不毛の大地》による支配力も増します。

 相手のフェッチランドの起動を《もみ消し》で妨害して《不毛の大地》でマナを縛り、《敏捷なマングース》《タルモゴイフ》をソフトカウンターでバックアップしていくという伝統的なテンポデッキの動きがまた見られそうです。

Death and Taxes

スレイベンの守護者、サリア石鍛冶の神秘家霊気の薬瓶

 旧環境では《死儀礼のシャーマン》《剣を鍬に》で除去しなければ《不毛の大地》で相手の土地を割ってもテンポアドバンテージの面で厳しいものがありました。《死儀礼のシャーマン》の退場により《不毛の大地》《リシャーダの港》の価値も上がりました。

 コンボを著しく減速する《スレイベンの守護者、サリア》、Reanimatorに有効な《封じ込める僧侶》《グリセルブランド》《騙し討ち》の起動能力を封じる《ファイレクシアの破棄者》《エーテル宣誓会の法学者》といった各種ヘイトベアーや《安らかなる眠り》など白には新環境で復権してくるであろうコンボデッキに有効なサイドボードの選択肢が豊富なのも魅力です。総じて以前よりもポジション的にも有利になり、デッキのパーツの大半もここ最近再録されたカードが中心なので値段的にも組みやすく新環境では人気が出そうなアーキタイプです

Interview With Zach Allen - UW Stoneblade

 新環境で復権してくることが予想されるStonebladeを旧環境から使い続けており、SCG Conで開催されたレガシーの大規模なイベントのDuel For DualsやLegacy Challengeで結果を残しているZach Allenにお話を伺うことができました。

Zach Allen

Zach Allen
※写真はMagic: The Gatheringより引用しました。

 Zach Allenはアメリカ・ミシガン州にあるショップであるRIW Hobbies(RIW Hobbies - Michigan's leading game and hobby store!)がスポンサーするTeam RIWの一員でもあり、GP Pittsburghでもトップ8入賞しプロツアー『ラヴニカのギルド』の権利も獲得済みです。Magic Onlineでも"A22EN"として活動しており、モダンフォーマットを中心としたポッドキャストであるTurn One Thoughtseizeもプロデュースしています。

石鍛冶の神秘家真の名の宿敵殴打頭蓋

――「まず最初に今回の禁止改定についての意見を教えてくれる?」

Zach《ギタクシア派の調査》見た目は地味だったけど明らかに壊れたカードで、禁止は必要だったと思う。《死儀礼のシャーマン》の禁止も強すぎたから仕方なかったね。」

――「何故Stonebladeを使うことにしたのか教えてくれる?」

Tundra基本に帰れ

Zach「実はこのデッキを使い始めた理由の1つはデュアルランドを持っていなかったことなんだ(笑) 《Tundra》も最初は1枚しか持っていなくて大会で勝った賞金で2枚目を購入したんだ。基本地形を多数採用していて《基本に帰れ》をメインから採用した青白は、MiraclesとStonebladeを両方試してみた結果、Stonebladeの方がGrixis Delverとの相性が良く感じたからこのデッキを調整し続けることに決めたんだ。

Zach「禁止改定後の環境のことはまだよく分からないけど、Delver系とのマッチアップには強いデッキだったから、もし新環境でGrixis Delverの代わりにTemur Delverが流行るようならポジション的にも良くなると思うね。このデッキにとって相性の悪かったデッキは4C LeovoldとElvesで、これらのデッキにとっては今回の禁止は痛かった。あとこのデッキにとって相性が良いマッチアップであるDeath and Taxes、Mono Red Prison、Landsも今回の禁止改定の影響で使われそうなのもこのデッキにとっては良さそうだね。」

――「Landsに強いのは意外だね。Stoneblade系のデッキはLandsみたいなタイプのデッキには苦戦するイメージだったけど。」

Zach「このバージョンは少し違っていて《精神を刻む者、ジェイス》《ドミナリアの英雄、テフェリー》がこのマッチでは強い。あとLandsは《真の名の宿敵》にも苦戦する。《The Tabernacle at Pendrell Vale》もこのデッキにはそこまで強くないし、何よりメインから入っている《基本に帰れ》が良く機能する。《踏査》をカウンターして土地を並べさせないようにすれば勝てるマッチだ。

――「確かに《基本に帰れ》が一番活躍しそうなマッチアップだね。《ドミナリアの英雄、テフェリー》はモダンでも活躍しているけど使ってみてどうだった?」

ドミナリアの英雄、テフェリー

Zach《ドミナリアの英雄、テフェリー》は信じられない強さだね。《石鍛冶の神秘家》、装備品、《真の名の宿敵》《基本に帰れ》《精神を刻む者、ジェイス》などを対処した後にキャストされる《ドミナリアの英雄、テフェリー》は相手も対処するのが難しくて、このカードが出れば勝利も目前だ。アンタップ能力は《瞬唱の魔道士》とも相性が良いし、《殴打頭蓋》も守りやすい。6マナあれば《殴打頭蓋》を5マナでキャストしてもアンタップ能力で3マナ余るからね。」

――「5マナと一見すると重いコストだけれど、アンタップ能力やそのアドバンテージ能力はレガシーでも十分に通用する強さみたいだね。」

Zach「そうだね。あと《罠の橋》《虚空の杯》のようなパーマネントも対処できるのも嬉しい。」

――「他にはサイドボードに採用されている《ウルザの後継、カーン》も興味深いチョイスだね。」

ウルザの後継、カーンゼンディカーの同盟者、ギデオン

Zach《ウルザの後継、カーン》は最高だね。《ウルザの後継、カーン》《トレストの使者、レオヴォルド》がいてもドローエンジンになって《紅蓮破》にも引っかからない。でもそれは旧環境の話で、新環境では4C Leovoldは居なくなると思うから、多分代わりに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が入ると思う。

――「なるほど。確かに《紅蓮破》されない脅威として《ウルザの後継、カーン》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は良く機能しそうだね。他に新環境に向けて何か変更を加えたい所があったら教えてくれる?」

Zach「まだ分からないけどこのデッキにとって相性が悪いデッキの一つのMiraclesは新環境では流行りそうだから、Miraclesに強いカードを採用することを考えている。《ヴェンディリオン三人衆》《悪意の大梟》が減少してMiraclesやコンボが多くなりそうな環境では強くなりそうだから、今後は追加することも考えている。」

――「なるほど。コンボが多くなる環境では《狼狽の嵐》も強くなりそうだけどどう思う?」

狼狽の嵐呪文貫き

Zach《狼狽の嵐》は確かにコンボに強いスペルだけど、《騙し討ち》《動く死体》といったスペルをカウンターできない。そのあたりのスペルをカウンターできるのが《呪文貫き》を好きな理由で、僕は《狼狽の嵐》《呪文貫き》を2枚ずつ分けるのが良いと思うね。あとプレインズウォーカーもこのデッキにとっては脅威となるから、相手の《精神を刻む者、ジェイス》などを1マナでカウンターできるのが《呪文貫き》の強みだね。Landsの《踏査》をカウンターできるのも重要なポイントだ。」

――「MiraclesはStonebladeにとって相性の悪いマッチだったから、新環境では課題となりそうだね。でも旧環境でも相性の悪かった4C Leovoldとのマッチアップを《ウルザの後継、カーン》のようにサイドボードのカード選択によって克服していたことを考えると新環境にも希望が持てそうだね。

Zach「そうだね。Miraclesも他の墓地を使ったコンボに対しても勝つ方法は多数用意されている。今は環境を分析して色々と試してみるのが良さそうだね。」

Zach「最後に一つ話して良いかな?僕が好きな日本人プロについて話したかったんだけど。」

――「もちろん!」

八十岡 翔太

八十岡 翔太

行弘 賢

行弘 賢

Zach八十岡 翔太・行弘 賢が僕が好きな日本人プロで、11月のプロツアーで彼らと対戦できたら良いと思っている。八十岡 翔太のプレイングを見るのは楽しみだし、行弘 賢はいつも面白いデッキを持ち込むからね。」

――「今回はインタビューに協力してくれてありがとう。そして改めてプロツアーの権利獲得おめでとう!」

 Stonebladeは《コラガンの命令》を採用したデッキが減少することが予想される新環境では復権してくることが予想されます。デュアルランドなどパーツの高騰が著しいレガシーのデッキの中では比較的リーズナブルな価格で組めるのでこれからレガシーを始めたいという方にもお勧めできます。

総括

 《死儀礼のシャーマン》《ギタクシア派の調査》の退場が環境に多大な影響を与えることは明確で、現在のところは墓地を使ったコンボデッキの復権が様々な所で語られています。

 Grixis Delverを使い続けていた筆者個人的にも今回の禁止は正しかったと言えます。《ギタクシア派の調査》のファイレクシアマナは明らかに効率的過ぎで、いつかは禁止になるカードと噂されていました。

 《死儀礼のシャーマン》は対処が容易なクリーチャーであるということ、そしてReanimatorやDredgeといった墓地を活用したコンボデッキが環境を支配することから守っていたという意見もありましたが、結局はフェアデッキ=《死儀礼のシャーマン》デッキとなり、レガシーの大きな大会ではプレイオフの半数以上が《死儀礼のシャーマン》デッキの代表格であったGrixis Delverと4C Leovoldで占められることがほとんどであり、環境の停滞を招いていました。

 来週末にはチーム戦のSCGO Worcesterがあり、その翌週にもSCGO Philadelphiaがありと久々に大きな変化を遂げた環境のレガシーをプレイするのが楽しみです。

 以上、USA Legacy Express vol.142でした。

 それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

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