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週刊デッキウォッチング vol.123 -巨像投げ飛ばし-

2017/06/29 00:00 

    • 伊藤 敦
    • コラム

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は晴れる屋のデッキ検索から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: ローグ


twistling「ローグ」
Competitive Standard Constructed League(5-0)

3 《山》
4 《産業の塔》
4 《霊気拠点》
4 《尖塔断の運河》
2 《高地の湖》
3 《ウギンの聖域》
2 《ハンウィアーの要塞》

-土地 (22)-

3 《貪欲な侵入者》
4 《異端の飛行機械職人》
1 《老いたる深海鬼》
4 《金属製の巨像》

-クリーチャー (12)-
3 《投げ飛ばし》
2 《蓄霊稲妻》
1 《鎮定工作機》
4 《街の鍵》
4 《予言のプリズム》
4 《霊気装置の設計図》
2 《金属紡績工の組細工》
3 《霊気圏の収集艇》
1 《耕作者の荷馬車》
2 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-呪文 (26)-
4 《屑鉄場のたかり屋》
3 《焼けつく双陽》
2 《砦の発明者》
2 《払拭》
2 《無許可の分解》
1 《屑鉄さらい》
1 《否認》

-サイドボード (15)-
hareruya

異端の飛行機械職人金属製の巨像投げ飛ばし

 4~5ターン目に複数の10/10クリーチャーを並べる「《金属製の巨像》コンボ」の弱点は、たとえ《金属製の巨像》を並べることに成功したとしてもトランプルがないため、そこからゲームに勝つまでに何度かのアタックを経る必要がある点にあった。そこにおいてこのデッキは《街の鍵》《投げ飛ばし》の採用により、10/10アタック→10点本体で一撃で勝負を決められる構成となっているのが革新的と言える。

 《光り物集めの鶴》《面晶体の記録庫》といったパーツを思いきって排除した代わりに採用された《貪欲な侵入者》は、《霊気装置の設計図》とセットで引けば10点以上の打点にもなる可能性があり、《投げ飛ばし》と合わせてこれだけで勝利することもできる。

 耐えるパーツとして採用された《異端の飛行機械職人》は、環境的に強く3枚と多めに採用された《霊気圏の収集艇》の「搭乗」要員を供給してくれる。

 《街の鍵》起動でダメージレースをしながら手札を入れ替えつつ、パーツが揃ったところで《ハンウィアーの要塞》から相手を即死させるというコンセプトは、《致命的な一押し》《蓄霊稲妻》といったスタンダードの主要な除去では防ぎづらいことこの上なく、『破滅の刻』後の環境でも活躍が期待できそうだ。

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■ モダン: ドラゴンストーム


Makigano Motohiro「ドラゴンストーム」
平日モダン20時の部(3-0)

1 《森》
1 《島》
1 《山》
1 《平地》
1 《沼》
1 《繁殖池》
1 《神無き祭殿》
1 《蒸気孔》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《寺院の庭》
4 《樹木茂る山麓》
3 《霧深い雨林》
4 《霊気拠点》

-土地 (21)-

1 《龍王オジュタイ》
1 《龍王ドロモカ》
1 《龍王コラガン》
1 《龍王アタルカ》
1 《世界を溶かすもの、アタルカ》
1 《ジャンドの暴君、カーサス》
2 《ボガーダンのヘルカイト》
1 《ニコル・ボーラス》

-クリーチャー (9)-
4 《霊気との調和》
3 《信仰無き物あさり》
4 《知識の渇望》
2 《呪文ねじり》
1 《過去の罪》
4 《ドラゴンの嵐》
4 《睡蓮の花》
4 《織木師の組細工》
4 《霊気池の驚異》

-呪文 (30)-
3 《白日の下に》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
2 《嵐の息吹のドラゴン》
2 《古えの遺恨》
2 《忌呪の発動》
1 《雷破の執政》
1 《ゴブリンの闇住まい》
1 《けちな贈り物》
1 《堀葬の儀式》

-サイドボード (15)-
hareruya

ドラゴンの嵐霊気池の驚異ニコル・ボーラス

 デッキを作るのに、必ずしも合理的でなければならないという縛りはない。使いたいカードを使うことがデッキ構築の基本であり、かつ醍醐味でもある。そしてその観点からすると、このデッキは《ドラゴンの嵐》を使いたい」という気持ちのこれ以上ない表れと言えるだろう。

 モダン環境ともなれば、9マナの呪文でかつ「ストーム」を稼ぐほどに効果が増す《ドラゴンの嵐》を唱える手段は色々ある。球状のエネルギー・カウンターを6個集めると神龍ならぬ謎の機械が願いを叶えてくれる《霊気池の驚異》のほか、《知識の渇望》で捨ててから《呪文ねじり》《過去の罪》で唱えることで、2体のドラゴン登場が保証されるのはありがたい。

 ただ勝つだけなら《ジャンドの暴君、カーサス》《世界を溶かすもの、アタルカ》だけサーチすればいいのだが、そこは頭カラッポの方が夢詰め込める。『タルキール龍紀伝』の龍王たちや往時活躍した《ボガーダンのヘルカイト》だけでなく、『破滅の刻』の主役たる《ニコル・ボーラス》も採用しているのは時流に乗った選択だ。

 サイドボードからは対《流刑への道》必殺兵器の《嵐の息吹のドラゴン》《白日の下に》からの《けちな贈り物》《堀葬の儀式》といったテクニックもあり、どこまでもハチャメチャが押し寄せてくる構成を前にしては、ワクワクを100倍にしてパーティーの主役にならざるをえないだろう。

「ドラゴンストーム」でデッキを検索

■ レガシー: 青赤コントロール


Truckis「青赤コントロール」
Competitive Legacy Constructed League(5-0)

9 《島》
1 《山》
4 《Volcanic Island》
3 《沸騰する小湖》
3 《古えの墳墓》

-土地 (20)-

4 《猿人の指導霊》

-クリーチャー (4)-
4 《祖先の幻視》
4 《均衡の復元》
4 《予言により》
4 《血染めの月》
4 《虚空の杯》
4 《金属モックス》
4 《罠の橋》
4 《反逆の先導者、チャンドラ》
4 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (36)-
4 《意志の力》
4 《虚空の力線》
3 《紅蓮地獄》
2 《狼狽の嵐》
1 《占有》
1 《ダク・フェイデン》

-サイドボード (15)-
hareruya

予言により均衡の復元罠の橋

 モダン環境で《予言により》《均衡の復元》のコンボが通用しうることはvol.116の段階で既に示されていたが、まさかレガシーでも暴れまわるとは誰が予想できただろうか?

 《虚空の杯》《血染めの月》を活用した青赤のプリズンデッキの構造をとっているこのデッキは、《猿人の指導霊》《金属モックス》で消耗したリソースに対するアプローチとして (《予言により》からの) 《祖先の幻視》《均衡の復元》という2種のリカバリー手段を採用する。前者はカードを引くことでアドバンテージを、後者は戦場をリセットすることでアドバンテージを獲得するのだ。

 さらに、《予言により》のカウンターが溜まれば《反逆の先導者、チャンドラ》《精神を刻む者、ジェイス》が速やかにゲームを終わらせる。《罠の橋》に阻まれた状態でこれらのプレインズウォーカーを除去するのは至難の業だろう。

 デルバーと土地単が隆盛している今、カードを引けて全体除去も打てる《血染めの月》デッキのポジションは、奇跡がいなくなったことで狙い目と言える。やんちゃな見た目とは裏腹に、意外と環境にフィットした合理性を有しているのかもしれない。

「青赤コントロール」でデッキを検索

■ ヴィンテージ: テゼレッター


Kurata Yoshihiko「テゼレッター」
ヴィンテージ神トライアル(優勝)

2 《島》
2 《Underground Sea》
2 《Volcanic Island》
4 《沸騰する小湖》
2 《汚染された三角州》
1 《トレイリアのアカデミー》
1 《Library of Alexandria》

-土地 (14)-

1 《瞬唱の魔道士》
2 《粗石の魔道士》
1 《荒廃鋼の巨像》

-クリーチャー (4)-

1 《Ancestral Recall》
1 《Time Walk》
1 《Black Lotus》
1 《Mox Emerald》
1 《Mox Jet》
1 《Mox Pearl》
1 《Mox Ruby》
1 《Mox Sapphire》

-パワー9 (8)-
3 《精神的つまづき》
2 《紅蓮破》
1 《ギタクシア派の調査》
1 《渦まく知識》
1 《思案》
1 《吸血の教示者》
1 《撤廃》
1 《力ずく》
1 《Demonic Tutor》
1 《商人の巻物》
1 《修繕》
1 《ヨーグモスの意志》
4 《逆説的な結果》
4 《意志の力》
2 《オパールのモックス》
1 《魔力の櫃》
1 《仕組まれた爆薬》
2 《師範の占い独楽》
1 《魔力の櫃》
1 《太陽の指輪》
1 《通電式キー》
1 《Time Vault》
1 《求道者テゼレット》

-呪文 (34)-
2 《鋳塊かじり》
2 《思考囲い》
2 《力ずく》
2 《墓掘りの檻》
1 《硫黄の精霊》
1 《残響する真実》
1 《精神壊しの罠》
1 《トーモッドの墓所》
1 《真髄の針》
1 《虚無の呪文爆弾》
1 《山》

-サイドボード (15)-
hareruya

逆説的な結果紅蓮破荒廃鋼の巨像

 《Ancestral Recall》《Time Walk》をはじめとした超規格外の制限カードたちが大量にデッキに眠っているため、ヴィンテージにおいて「カードを引く」というアクションはあまりにも強力だ。さらにそれがフリースペルともなると、強力すぎるため《噴出》のように禁止になってしまうわけだが、その観点からすると、MoxenからプレイしてMoxenを出し直せるので実質フリースペルとも言える《逆説的な結果》は、ストームのようなコンボデッキに限らずとも、現在のヴィンテージ環境において単純に最強のドロースペルとみなすことができる。

 《意志の力》《精神的つまづき》《紅蓮破》といった妨害と大量のドローやサーチカード、そして《修繕》《求道者テゼレット》のような「1枚コンボ」を搭載したこのデッキは、大量の0マナアーティファクトに依存してはいるものの、まるで《Ancestral Recall》が7枚も8枚も入ったような非常に合理的なコンボ・コントロールとなっている。

 《粗石の魔道士》はMoxenでマナを、《師範の占い独楽》で疑似的なドローを、《仕組まれた爆薬》でボードへの対処を、《Time Vault》がある状況では《通電式キー》でフィニッシャーをそれぞれサーチできる高性能なユーティリティカードであり、サイド後は墓地対策や《真髄の針》も探せる上に《逆説的な結果》で再利用もできるので至れり尽くせりだ。

 いよいよ今週末には第9期ヴィンテージ神挑戦者決定戦が開催される。はたして勝つのはどんなデッキか、そして神・森田 侑への挑戦権を獲得するのは誰になるのか。ヴィンテージプレイヤーたちの研鑽の成果を、動画や生放送などでぜひ見届けてみて欲しい。

「テゼレッター」でデッキを検索

 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!

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