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週刊デッキウォッチング vol.106 -モーギス・デミゴッド-

2017/02/15 00:00 

    • 伊藤 敦
    • コラム

 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。

 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。

■ スタンダード: 多色ビートダウン



Yoshida Yuutarou「多色ビートダウン」
PWC - GPT静岡in横浜(優勝)

3 《沼》
2 《島》
1 《森》
1 《山》
4 《霊気拠点》
4 《産業の塔》
4 《花盛りの湿地》
4 《植物の聖域》

-土地 (23)-

4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《ならず者の精製屋》
4 《不屈の追跡者》

-クリーチャー (12)-
4 《致命的な一押し》
3 《金属の叱責》
3 《無許可の分解》
4 《改革派の地図》
4 《キランの真意号》
2 《最後の望み、リリアナ》
2 《策謀家テゼレット》
3 《生命の力、ニッサ》

-呪文 (25)-
3 《ヤヘンニの巧技》
2 《儀礼的拒否》
2 《自然廃退》
1 《難題の予見者》
1 《自然のままに》
1 《グレムリン解放》
1 《否認》
1 《苦い真理》
1 《慮外な押収》
1 《バラルの巧技》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-サイドボード (15)-
hareruya



ならず者の精製屋キランの真意号策謀家テゼレット


 フェッチ+バトルランド時代ほどではないにせよ、現在のスタンダードもなかなかに土地が強いスタンダード環境と言える。ということは、デッキ構築の幅がそれだけ広いということだ。《産業の塔》を得た「機体」が《金属の叱責》をタッチしていることからもわかるように、3色を超えて4色のデッキすらも組むことすらできている現状。ならば「機体」のような緑抜き4色以外の、他の4色の可能性に挑戦するのがデッキビルダーというものだろう。

 このデッキは白抜きの4色で、「機体」の中でも引きムラが生まれやすい《模範的な造り手》《経験豊富な操縦者》などを排除し、代わりに何ターン目に引いても安定したスペックの《ならず者の精製屋》《不屈の追跡者》を運用する「機体」ミッドレンジの構造をとっている。

 《改革派の地図》はとっているものの土地を切り詰めすぎることなく、あくまで《産業の塔》の起動手段と、《致命的な一押し》の「紛争」材、および《金属の叱責》の「即席」材がメインの役割となる。

 《策謀家テゼレット》はこうしたミッドレンジにおいては「-2」能力が攻めと受けの両面を器用に担えるため、最良の居場所となりうる。《策謀家テゼレット》のこうした運用の方向性を見出しただけでもこのデッキの価値は非常に大きいと言えるが、それだけでなくビートとコンボが支配するこの環境で早くも先を見据えたミッドレンジに可能性を見出した先見の明こそ、称賛されてしかるべきだろう。

【「多色ビートダウン」でデッキを検索】





■ モダン: 青黒緑ジャンク



jadoth「青黒緑ジャンク」
Competitive Modern Constructed League(5-0)

1 《森》
1 《島》
1 《沼》
2 《草むした墓》
1 《繁殖池》
1 《湿った墓》
4 《新緑の地下墓地》
3 《汚染された三角州》
1 《霧深い雨林》
4 《花盛りの湿地》
1 《涙の川》
1 《忍び寄るタール坑》
1 《幽霊街》

-土地 (22)-

4 《タルモゴイフ》
3 《ヴリンの神童、ジェイス》
1 《漁る軟泥》
1 《不屈の追跡者》
1 《永遠の証人》
1 《クルフィックスの狩猟者》
1 《意思切る者》
1 《エレンドラ谷の大魔導師》
1 《叫び大口》
1 《スラーグ牙》
1 《約束された終末、エムラクール》

-クリーチャー (16)-
4 《致命的な一押し》
4 《ウルヴェンワルド横断》
3 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
2 《突然の衰微》
1 《四肢切断》
1 《大渦の脈動》
3 《ミシュラのガラクタ》
1 《最後の望み、リリアナ》

-呪文 (22)-
2 《払拭》
2 《対抗突風》
1 《呪文滑り》
1 《瞬唱の魔道士》
1 《ファイレクシアの破棄者》
1 《大物狙い》
1 《大爆発の魔道士》
1 《再利用の賢者》
1 《歯牙収集家》
1 《復讐に燃えた反逆者》
1 《概念泥棒》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《ボジューカの沼》

-サイドボード (15)-
hareruya



ヴリンの神童、ジェイスウルヴェンワルド横断致命的な一押し


 《ミシュラのガラクタ》《ウルヴェンワルド横断》の「昂揚」を効率よく達成し、クリーチャーを探し出すテクニックはジャンドカラーの《死の影》アグロで使われているテクニックだが、今回そこにさらにシルバーバレット戦略を組み込んだミッドレンジが登場した。

 手札破壊と除去というお馴染みの妨害に最低限の《タルモゴイフ》《ヴリンの神童、ジェイス》がゲームの主導権を握る。そしてひとたび「昂揚」を達成したなら《ウルヴェンワルド横断》が状況に合わせた最適解をサーチし、じわじわとアドバンテージ差を広げていく。最後は《約束された終末、エムラクール》でフィニッシュだ。

 サイドボードまで1枚差しのクリーチャーがずらりと並ぶ様は、デッキリストを打ちこみたくない的な意味で 在りし日の《出産の殻》デッキを彷彿とさせる。マナの踏み倒しはできないため、選択肢は3マナ以下のユーティリティクリーチャーが主だが、モダンほどのカードプールの広さがあればそれだけでもあらゆる状況に対応可能だ。

 スゥルタイというカラーリングはモダンではマイナーだが、《致命的な一押し》の登場で《稲妻》を全く使わない選択肢が生まれたことで、黒緑ベースのタッチ青にも十分な説得力が生まれている。「ジャンド」「アブザン」に「スゥルタイ」が並ぶ日は近いかもしれない。

【「青黒緑ジャンク」でデッキを検索】





■ レガシー: ローグ・コントロール



Ikegami Akira「ローグ・コントロール」
晴れる屋レガシー杯(3-1-1)

9 《沼》
3 《山》
2 《Bayou》
1 《Badlands》
4 《血染めのぬかるみ》
3 《新緑の地下墓地》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地 (23)-

4 《死儀礼のシャーマン》
3 《殺戮の神、モーギス》
1 《死者の神、エレボス》
4 《復讐の亜神》

-クリーチャー (12)-
4 《稲妻》
4 《思考囲い》
3 《致命的な一押し》
1 《忌むべき者のかがり火》
2 《戦慄掘り》
2 《炎の印章》
2 《ファイレクシアの闘技場》
2 《師範の占い独楽》
2 《爆積み》
3 《ヴェールのリリアナ》

-呪文 (25)-
3 《赤霊破》
2 《毒の濁流》
2 《硫黄の渦》
2 《殴打頭蓋》
1 《外科的摘出》
1 《トーラックへの賛歌》
1 《失われた遺産》
1 《滅び》
1 《夜の戦慄》
1 《罠の橋》

-サイドボード (15)-
hareruya



殺戮の神、モーギス復讐の亜神ヴェールのリリアナ


 レガシーといえば《実物提示教育》《相殺》《意志の力》がやりたいことを制限する不自由な環境と思うかもしれない……だが、それらの一つ一つは決して回避できない制約ではない。全部に勝とうとすることを諦めるならば、同時にどんな発想も受け入れる懐の深さを持ち合わせているのがレガシーという環境でもあるのだ。

 「神である《殺戮の神、モーギス》を亜神である《復讐の亜神》と一緒に気持ちよく走らせる」という頭のネジが (良い意味で) ぶっ飛んだコンセプトを追求したこちらのデッキは、「信心」を貯めるパーマネントでデッキを構成する関係上コンボ耐性は諦めているものの、それ以外のデッキに対しては大量の除去と基本地形を多めに搭載していることにより、《不毛の大地》にハマることなく中~長期戦に持ち込める。

 《ヴェールのリリアナ》の「+1」能力で捨てるのは《罰する火》ではなく《復讐の亜神》。対戦相手の《死儀礼のシャーマン》を容易に処理できるこのデッキならば、2体目の《復讐の亜神》をプレイすることで《意志の力》を乗り越えて墓地から5/4飛行速攻を降臨させることができる。また、《爆積み》は破壊不能の神々と相性抜群だ。

 《殺戮の神、モーギス》は単体でも《硫黄の渦》的な効果でナチュラルな「奇跡コントロール」メタにもなる。大雑把に見えるカード採用に油断していると、痛い目を見ることになりそうだ。

【「ローグ・コントロール」でデッキを検索】





■ フロンティア: ローグ



Juilex「ローグ」
MTGFrontier Community Tournament - Week 6(2位)

2 《島》
2 《山》
3 《燃えがらの林間地》
4 《樹木茂る山麓》
2 《開拓地の野営地》
3 《尖塔断の運河》
4 《シヴの浅瀬》
3 《ヤヴィマヤの沿岸》

-土地 (23)-

4 《波に漂うもの》
4 《コジレックの歩哨》
4 《不快な集合体》
4 《水底の潜入者》
4 《コジレックの伝令》
3 《虚空を継ぐもの》
2 《黄金夜の懲罰者》

-クリーチャー (25)-
2 《呪文萎れ》
4 《集合した中隊》
4 《突撃陣形》
2 《密輸人の回転翼機》

-呪文 (12)-
3 《再利用の賢者》
2 《払拭》
2 《否認》
2 《手酷い失敗》
2 《光輝の炎》
2 《ムラーサの胎動》
2 《トーモッドの墓所》

-サイドボード (15)-
hareruya



突撃陣形コジレックの伝令集合した中隊


 フロンティア環境はまだまだ未開拓の部分が多く、様々な夢のあるコンセプトを内包したカードが眠っている。『タルキール龍紀伝』の《突撃陣形》もそんな一枚だ。

 タフネスの高いクリーチャーといえばまず思いつくのは防衛持ちの壁だが、フロンティアでは十分な頭数が揃えられない。そこでこのデッキではタフネスの高いエルドラージを採用し、ひたすら地上を固めつつ《突撃陣形》を引き込むと一気に攻めに転じるという奇襲戦法をとっている。通常構築で使われないような効果もよくわからないコモンとアンコモンが集まっているだけあって、対戦相手の油断を誘うには絶好のラインナップだ。

 《コジレックの伝令》はエルドラージクリーチャーのコストを軽くするほかにも、《呪文萎れ》《密輸人の回転翼機》のコストも軽減してくれる。相手の除去に対応して《集合した中隊》をプレイし、《虚空を継ぐもの》を探しにいくプレイングもありそうだ。

 《波に漂うもの》《突撃陣形》下ではエルドラージのロードとして機能する。お手軽に20点以上の打点を形成できるだけのポテンシャルを持つ《突撃陣形》は、《硬化した鱗》のように今後フロンティアで一大勢力となるかもしれない。

【「ローグ」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


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