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週刊デッキウォッチング vol.104 -エンジン始動!-

2017/02/01 00:00 

    • 伊藤 敦
    • コラム


 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: 多色機体



Ishikawa Takuma「多色機体」
平日サービススタンダード17時の部(3-0)

2 《平地》
1 《島》
1 《山》
4 《霊気拠点》
4 《産業の塔》
4 《感動的な眺望所》
4 《尖塔断の運河》

-土地 (20)-

3 《光り物集めの鶴》
2 《模範操縦士、デパラ》
2 《戦利品の魔道士》
3 《金属製の巨像》

-クリーチャー (10)-
4 《エンジン始動》
3 《燻蒸》
4 《改革派の地図》
4 《領事府の弩級艦》
3 《キランの真意号》
4 《平和歩きの巨像》
4 《耕作者の荷馬車》
2 《ボーマットのバザール船》
2 《領事の旗艦、スカイソブリン》

-呪文 (30)-
3 《蓄霊稲妻》
3 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
2 《払拭》
2 《儀礼的拒否》
2 《断片化》
2 《否認》
1 《領事の権限》

-サイドボード (15)-
hareruya



エンジン始動領事府の弩級艦平和歩きの巨像



 1マナ7/11という驚異的なマナレシオを持つ「機体」である《領事府の弩級艦》だが、「搭乗6」をまともに達成しようとするのはなかなかに厳しい。となればコストを踏み倒してクリーチャー化しようと考えるのが通常だが、「赤白『機体』」のようなビートダウン的アプローチとは噛み合わせが悪いのが難点だった。そこでこのデッキでは発想を転換し、《エンジン始動》を使ったコンボコントロールという方向性に振り切ることで、コンセプトの独自性を担保している。

 「機体」のパワーは最低でも4以上 (しかも4は《キランの真意号》のみ) であることから、最低3枚の「機体」を並べて《エンジン始動》を打てば6+7+7でぴったり20点に到達する計算である。もちろん相手にブロッカーがいればそううまくはいかないが、《平和歩きの巨像》《キランの真意号》をクリーチャー化してライフを削ったり、脇に《光り物集めの鶴》がいたりすれば造作もなく詰めきれることだろう。

 《戦利品の魔道士》は3マナの「機体」をサーチするのが主な仕事だが、残った2/2クリーチャーも《エンジン始動》で強化されるので、ブロッカー兼最終ターンの追加打点としてきちんと役割が与えられている点も美しい。

 《金属製の巨像》《燻蒸》後にプレイして《領事府の弩級艦》を走らせる奇襲パターンもある。非常に大味だが、《領事府の弩級艦》《エンジン始動》のパッケージをきちんと戦えるコンセプトに仕上げている点でとても魅力的なデッキだ。


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■ モダン: ローグ



Tomomizu Takuya「ローグ」
休日モダン17時の部(3-0)

2 《島》
1 《湿った墓》
4 《霊気拠点》
4 《産業の塔》
2 《空僻地》
1 《闇滑りの岸》
1 《植物の聖域》
1 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《ダークスティールの城塞》

-土地 (18)-

1 《呪文滑り》
3 《引き裂かれし永劫、エムラクール》

-クリーチャー (4)-
4 《発明品の唸り》
3 《知識の渇望》
4 《革新の時代》
4 《オパールのモックス》
4 《ミシュラのガラクタ》
2 《真髄の針》
2 《大祖始の遺産》
4 《織木師の組細工》
2 《威圧のタリスマン》
1 《鼓舞する彫像》
4 《霊気池の驚異》
1 《流転の護符》
3 《精霊龍、ウギン》

-呪文 (38)-
2 《集団的蛮行》
2 《飛行機械の鋳造所》
2 《ボーラスの工作員、テゼレット》
1 《発明の領事、パディーム》
1 《思考囲い》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《墓掘りの檻》
1 《防御の光網》
1 《弱者の剣》
1 《罠の橋》
1 《クラーク族の鉄工所》
1 《アカデミーの廃墟》

-サイドボード (15)-
hareruya



発明品の唸り霊気池の驚異革新の時代



 かつて【モダン神・松田 幸雄が可能性を示した】ように、「プレイしたら勝ち」の《引き裂かれし永劫、エムラクール》が使えるモダンでは、《霊気池の驚異》が活躍する余地は十分にある。モダンにおける《霊気池の驚異》の問題はいかにテンポ良く《霊気池の驚異》を探し出すかいかに効率良くエネルギーを溜めるかに集約されるが、このデッキは《発明品の唸り》《革新の時代》を採用することで、その問題をクリアしにかかっている。

 《発明品の唸り》のコストを軽減するための《オパールのモックス》《ミシュラのガラクタ》は、0マナであるため《革新の時代》でエネルギーを溜めるのにも相性が良い。《ミシュラのガラクタ》は「即席」時にはマナソースカウントになりつつ、《霊気池の驚異》設置後はエネルギーカウントになるのもポイントだ。ほかにもタップすることがデメリットにならない《真髄の針》《織木師の組細工》は「即席」材にうってつけだし、同様の理屈で《虚空の杯》の採用を検討してみても面白いかもしれない。

 エンド前の《発明品の唸り》《鼓舞する彫像》サーチから《精霊龍、ウギン》に「即席」を持たせて手札からプレイするオプションは、黒緑系に強いのもさることながら、サイド後の《石のような静寂》を乗り越える切り札にもなる。《流転の護符》をサーチして手札の《引き裂かれし永劫、エムラクール》を無理矢理場に出すオプションも奇襲性が高い。

 軽くて有用なアーティファクトが多いモダンでは、《発明品の唸り》は新世代の《修繕》とも言うべきポテンシャルを発揮する。<革新の時代/Era of Innovation>のカード名にふさわしい、まさしく革新的なデッキと言えるだろう。


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■ レガシー: ベルチャー



monkeyscantcry「ベルチャー」
Competitive Legacy Constructed League(5-0)

1 《Bayou》
1 《ドライアドの東屋》

-土地 (2)-

1 《死儀礼のシャーマン》
1 《野生の朗詠者》
4 《Elvish Spirit Guide》
1 《スカイシュラウドの切断獣》
1 《這い耽り》

-クリーチャー (8)-
4 《召喚士の契約》
4 《弱者選別》
4 《暗黒の儀式》
4 《土地譲渡》
4 《陰謀団の儀式》
4 《冥府の教示者》
4 《冥府の契約》
4 《残酷な取り引き》
2 《苦悶の触手》
1 《不正利得》
1 《闇の誓願》
4 《金属モックス》
4 《水蓮の花びら》
4 《ライオンの瞳のダイアモンド》
2 《ゴブリンの放火砲》

-呪文 (50)-
4 《ザンティッドの大群》
4 《秋の帳》
3 《殺戮の契約》
2 《花の絨毯》
2 《夜の戦慄》

-サイドボード (15)-
hareruya



冥府の契約残酷な取り引き弱者選別



 レガシーにおける「ベルチャー」というアーキタイプはほとんどレシピが固まっており、それゆえに芸術的でもあるのだが、今回は既存の「ベルチャー」とは似て非なるアプローチを試みる、新たなオールインデッキの萌芽とも言うべきデッキを紹介しよう。

 「スパイ」「ANT」「ベルチャー」という3種のオールインを混ぜ込んだようなこのデッキは、しかしそのいずれとも決定的に異なるスロットとして、8枚もの(黒)(黒)(黒)ソーサリー4ドローを採用している点が特徴だ。《冥府の契約》《残酷な取り引き》はライフの半分と引き換えに《瞑想》と同様の効率でカードを引くことが可能であり、そこから次なるマナ加速とさらなる4ドローを引き込んでマナを増やしながら (そしてライフをそのたび擦り減らしながら) チェインする、というのが基本の流れになるものと思われる。

 《ライオンの瞳のダイアモンド》《冥府の契約》のセットからの《苦悶の触手》がフィニッシュな点は「ANT」と同様だが、ストームデッキにはノータイムで入りがちな《ギタクシア派の調査》を採用せず、キャントリップドローの不確定性を排除している点が興味深い。

 《召喚士の契約》から《金属モックス》を黒「刻印」する用の《死儀礼のシャーマン》や、《這い耽り》の「想起」誘発スタックの《ライオンの瞳のダイアモンド》起動など、他のデッキではなかなか使わないようなテクニックが追求されており、これから進化する余地もまだまだありそうだ。「ベルチャー」使いの方は、一度試してみる価値があるかもしれない。


【「ベルチャー」でデッキを検索】





■ フロンティア: ローグ



Pilote Yanick「ローグ」
晴れる屋フロンティア杯(3-2)

7 《沼》
4 《山》
4 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
3 《汚染された三角州》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
1 《ガイアー岬の療養所》

-土地 (24)-

2 《グルマグのアンコウ》

-クリーチャー (2)-
4 《強迫》
3 《致命的な一押し》
4 《闇の掌握》
4 《血の署名》
4 《集団的抵抗》
4 《コラガンの命令》
1 《餌食》
1 《ヤヘンニの巧技》
1 《奈落の総ざらい》
4 《闇の誓願》
4 《無駄省き》

-呪文 (34)-
3 《墓所破り》
2 《残忍な切断》
2 《無情な処罰》
2 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《蔑み》
1 《致命的な一押し》
1 《集団的蛮行》
1 《衰滅》

-サイドボード (14)-
hareruya



無駄省き集団的抵抗闇の誓願



 モダンやレガシーといったいわゆる下の環境では、「え、そのカードこの環境にあったっけ?」と思うほどマイナーなカードをプレイされることが往々にしてある。それはそのフォーマットの使用可能セットの中でもメジャーなものとマイナーなものが存在するからであり、モダンであれば「第8版」や「コールドスナップ」、レガシーであれば「ミラージュ」以前のセットのカードでよく起こる現象だが、このパターンをフロンティアに当てはめると、「基本セット2015」のカードは意外な発見をもたらすことがある、ということだ。

 「基本セット2015」の《無駄省き》に着目したこちらのデッキは、《集団的抵抗》を対戦相手の手札を入れ替えるモードで使用することで膨大なアドバンテージを獲得できるという異色のコンボを取り入れたコントロールとなっている。

 《致命的な一押し》《闇の掌握》《コラガンの命令》《密輸人の回転翼機》耐性はばっちりだし、《集団的抵抗》の除去モードや《闇の誓願》からの《ヤヘンニの巧技》まで合わせれば《呪文捕らえ》も怖くない。1枚だけ入った《奈落の総ざらい》は消耗戦の末の切り札となる。

 《ガイアー岬の療養所》は相手に強制的に手札を捨てさせることができるため、《無駄省き》との相性もすこぶる良い。これを見る限り、どうやらフロンティア環境にはまだまだ未知なるコンボが眠っていそうだ。


【「ローグ」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


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