晴れる屋

記事トップ > コラム > 週刊デッキウォッチング vol.95 -漢の〇単-

週刊デッキウォッチング vol.95 -漢の〇単-

2016/12/01 00:00 

    • 伊藤 敦
    • コラム


 マジックの華は、デッキリストだ。

 そのデッキに込められた意思を汲み取ろうとするとき、75枚の物言わぬ文字列はしかし、何よりも雄弁に製作者の心情を物語ってくれる。

 だから、デッキリストを見るということは。

 そのデッキを作った人物について、より深く知ろうとする行いに等しいのだ。



 この連載は【晴れる屋のデッキ検索】から毎週面白そうなデッキを見つけて、各フォーマットごとに紹介していく、というものだ。

 もし気に入ったデッキがあれば自分で作って試してみてもいいし、Magic Online用のtxtフォーマットでダウンロードすることも可能だ。

 それでは、それぞれのフォーマットで気になったデッキをご紹介しよう。






■ スタンダード: 赤単



Shimazaki Keita「赤単」
平日スタンダード14時の部(3-0)

16 《山》
4 《凶兆の廃墟》

-土地 (20)-

4 《発明者の見習い》
4 《ファルケンラスの過食者》
4 《傲慢な新生子》
4 《ボーマットの急使》
4 《狼の試作機》
4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《怒り刃の吸血鬼》

-クリーチャー (28)-
4 《稲妻の斧》
4 《癇しゃく》
4 《密輸人の回転翼機》

-呪文 (12)-
4 《流電砲撃》
4 《ヴァラクートの涙》
3 《撃砕確約》
2 《焼夷流》
2 《溶岩の地割れ》

-サイドボード (15)-
hareruya



ボーマットの急使狼の試作機ファルケンラスの過食者



 「1マナ→1マナ+1マナ」というムーブは、ビートダウン使いの魂に刻まれた動きだ。後手2ターン目スタートの相手のキープを咎め、勢いそのままに蹂躙する快感は、いつだって我々を魅了する。そして赤白ベースの「機体」デッキが主流となった現在のスタンダード環境にあって、なおも「1マナ→1マナ+1マナ」にこだわったビートダウンが、こちらの(おとこ)の赤単だ。

 《ファルケンラスの過食者》は、《鐘突きのズルゴ》《稲妻の狂戦士》を失ったことで赤のビートダウンが組みづらくなったと思われていたが、『カラデシュ』で《発明者の見習い》が登場したことで1マナパワー2の8枚体制が続投可能となっているのは注目すべきポイントだ。さらに《密輸人の回転翼機》との組み合わせも、自身が「搭乗」の種になりつつ、捨てたカードを「マッドネス」するという芸術点高め(当社比)のプレイが可能なのも評価が高い。

 《怒り刃の吸血鬼》《稲妻の斧》をフル搭載しているため、手札の消耗はかなり激しいが、《ファルケンラスの過食者》《癇しゃく》の「マッドネス」が負担を軽減してくれるほか、《凶兆の廃墟》を引き込んでいれば捨てた《屑鉄場のたかり屋》も墓地から戻ってくるし、《ボーマットの急使》は消耗した手札を回復する役割も担う。それでももし手札がなくなりそうなら……むしろ好都合、《狼の試作機》の発進だ!

 だがこのデッキについては何といってもレシピの美しさも見逃せない。ビートダウンデッキはしばしば金太郎飴に例えられることからもわかるように「ムラのなさ」が求められるところ、スペルが「4×10」というのはその追求の究極形と言えるからだ。赤単というシンプルなコンセプトながら「美」を体現するこのデッキは、《密輸人の回転翼機》も搭載した最新のガチデッキでありながらも、すべてのビートダウン使いに原体験を想起させるような懐かしさに溢れている。


【「赤単」でデッキを検索】





■ モダン: 黒単



Hikokubo Shouta「黒単」
平日モダン20時の部(3-0)

24 《沼》

-土地 (24)-

4 《屑鉄場のたかり屋》
4 《ゲラルフの伝書使》
4 《ファイレクシアの抹消者》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《深淵の迫害者》

-クリーチャー (16)-
3 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
4 《夜の犠牲》
2 《集団的蛮行》
3 《迫撃鞘》
1 《殴打頭蓋》
2 《ヴェールのリリアナ》
2 《最後の望み、リリアナ》

-呪文 (20)-
4 《虚空の杯》
3 《大祖始の遺産》
2 《英雄の破滅》
2 《サディストの聖餐》
2 《もぎとり》
2 《魂の裏切りの夜》

-サイドボード (15)-
hareruya



屑鉄場のたかり屋ファイレクシアの抹消者最後の望み、リリアナ



 モダンにおいて【ジャンド】が強力なのは、《コジレックの審問》《思考囲い》《稲妻》《突然の衰微》《コラガンの命令》《ヴェールのリリアナ》といったラインナップがクリーチャー/アーティファクト/エンチャント/プレインズウォーカーといったありとあらゆる脅威を的確に対処できるからだ。しかし、そんな万能なジャンドにも天敵は存在する。それこそが《ファイレクシアの抹消者》……そう、漢の黒単だ。

 ダメージで除去しようとすると最低5個のパーマネントを道連れにするこのカードは、ひとたび戦場に出れば《タルモゴイフ》だろうと《闇の腹心》だろうと攻撃を事実上すべてシャットアウトする。《ヴェールのリリアナ》の「-2」能力に対しては無力だが、脇に並ぶ《迫撃鞘》の細菌・トークンや「不死」を持つ《ゲラルフの伝書使》、墓地からインスタントタイミングで戻ってくる《屑鉄場のたかり屋》といった面々がそれを許さない。

 黒単というと古来より赤単、モダンでいえば【バーン】に駆られる宿命にあるが、《集団的蛮行》の登場はそんな絶望的な相性に一筋の光明をもたらした。《ゴブリンの先達》《大歓楽の幻霊》を除去しつつ《頭蓋割り》を相手の手札から抜き去ることができれば、あとは《ゲトの裏切り者、カリタス》がライフを安全圏まで引き上げてくれることだろう。

 《最後の望み、リリアナ》は「+1」能力が相手のターンまで持続するため、《巨森の蔦》《顕在的防御》の使用を強要することができ、「感染」デッキに対する強烈なアンチカードとなる。《迫撃鞘》と組み合わせればタフネス2や3のクリーチャーも射程圏に入るほか、能動的にリソースを増やしにいけるので、《ヴェールのリリアナ》とはまた違った役割を果たしそうだ。


【「黒単」でデッキを検索】





■ レガシー: ローグ・アグロ



Chiba Tatsuya「ローグ・アグロ」
休日レガシー17時の部(3-0)

7 《島》
2 《Tundra》
4 《霧深い雨林》
4 《沸騰する小湖》
3 《魂の洞窟》

-土地 (20)-

4 《呪い捕らえ》
4 《エピティアの賢者》
4 《翻弄する魔道士》
3 《情報屋》
4 《守護ウィザード》
3 《ヴィダルケンの霊気魔道士》
2 《ヴェンディリオン三人衆》
3 《波使い》

-クリーチャー (27)-
4 《目くらまし》
3 《意志の力》
2 《基本に帰れ》
4 《霊気の薬瓶》

-呪文 (13)-
2 《潮縛りの魔道士》
2 《外科的摘出》
2 《狼狽の嵐》
2 《断片化》
2 《対立》
2 《真髄の針》
1 《意志の力》
1 《安らかなる眠り》
1 《罠の橋》

-サイドボード (15)-
hareruya



翻弄する魔道士守護ウィザード波使い



 そしてこれが漢の青単……ではないのだが、メインでタッチしているカードは《翻弄する魔道士》だけなので大体そんな感じである。レガシーで青単といえば「マーフォーク」が思い浮かぶことだろうが、このデッキはそんな安易な種族デッキではない。何とウィザード単なのだ。

 種族デッキが成立するためには、種族を統一するに足るだけのボーナスがなければならない。通常は《ゴブリンの王》《アトランティスの王》《エルフの大ドルイド》のような「ロード」クリーチャーがそれにあたるが、種族「ウィザード」の場合は《寓話の賢人》のような中途半端なロードとなってしまうところ、このデッキは《守護ウィザード》に着目している。ウィザードの数だけ《魔力の乱れ》が打てるこのカードは、《翻弄する魔道士》と合わせ、相手のスペルをすべてカウンターしてロック状態に持ち込むことが可能なのだ。

 4枚の《守護ウィザード》に依存しすぎ?と思いきや、《エピティアの賢者》《情報屋》がいれば、フェッチと組み合わせて探しにいける。さらに《ヴィダルケンの霊気魔道士》の「ウィザード・サイクリング」があれば、《守護ウィザード》でも《波使い》でも即座に手に入れられる。

 《基本に帰れ》も相手のデッキと置くタイミング次第では設置即ggにもなったりする。実に研究しがいのありそうなレガシーの「ウィザード」、ぜひ一度お試しあれ。


【「ローグ・アグロ」でデッキを検索】






 いかがだっただろうか。

 すべてのデッキリストには意思が込められている。

 75枚から製作者の意図を読み解くことができれば、自分でデッキを作るときにもきっと役に立つだろう。

 読者の皆さんも、ぜひ色々と面白いデッキを探してみて欲しい。

 また来週!


【晴れる屋でデッキを検索する】



この記事内で掲載されたカード


Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする

関連記事

このシリーズの過去記事